和歌

干支の掛歌

平成十八年 元旦

戌入れば 馴るるうちにも 愛しき
陰追ふ時を しばし待ちなむ

寝ぬ入れば 慣るる家にも 美しき
影負ふ時を しばし待ちなむ

平成十七年 元旦

旅路告ぐ 門出の船の 大き鳥
鳴く波越ゆる 声高らなり

旅路継ぐ 門出の船の 大き取り
泣くなみ肥ゆる 声高らなり

平成十六年 元旦

猿とても 雪は何処か 思ふべし
樹になるままに 陽を振り放けば

去るとても 行きは何処か 思ふべし
気になるままに 日を振り放けば

平成十五年 元旦

数ふれば 年の柵越え はや羊
夢のまもなく 朝に成るらむ

平成十四年 元旦

新しき 巡る馬より なほも疾し
この道ひとつ 駆けて走らむ

平成十三年 元旦

幾重にも 夜毎重なる 驚かし
大巳なるとし ゆめ語らばや

幾重にも 吉事重なる 驚かし
大実生る年 夢語らばや

行く年、来る年

平成十年 元旦

果て染めて なほ登り来る 初日の出
雲ある年も 世は明けにけり

平成六年 大晦日

行く年や 明日にも流れん 時なれど
戻らぬ今を 鐘の音に聞く

著作・制作/永施 誠
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