常磐ならぬ桜 他

  1. 常磐ならぬ桜
  2. 帝都陥落
  3. 亡国

常磐ならぬ桜

常磐ならねば色褪する
桜何時しか枯れ果てど
時の移ろひ猶ほ緩く
誰見る目にや映るべき
されど長閑き春の日も
やがて陰るぞ定めなる
風だに吹かば咲く花は
一重偏に散り行きぬ

帝都陥落

城門の厳粛たること 幾星霜か
市井の騒活たること 如何して詳らかせんや
庶人は官に則りて 國に安住し
百僚は旗に従ひて 皇に敬忠す
顧みれども 都府の煙は皆無きなり
塞ぐといへども 外囲の轟きは八方なり
暁角ととも 賊徒は禁軍を称へん
紅霞に慟哭して 斜陽を拒む

城門厳粛幾星霜
市井騒活如何詳
庶人則官安住國
百僚従旗敬忠皇
顧而都府煙皆無
雖塞外囲轟八方
暁角賊徒称禁軍
紅霞慟哭拒斜陽

亡国

帝冠の重なるを覚えず
玉座に民を憂うること少なし
天意は唯一義なり
國を亡ぼすは何ぞ人に非ざらんや

不覚帝冠重
玉座無憂民
天維唯一義
亡国何非人

著作・制作/永施 誠
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