イージス/説明書

イージスとは?

名前の意味

 イージスは、ギリシャ神話の女神アテナ(主に戦争、特に防御を司ります)のもつ盾です。また、英雄ペルセウスが討ち取ったメドゥーサの首が飾られていると伝えられています。

概略

 イージスは、二人対戦用の、トランプを用いた、オリジナルのビッドありトリックテイキングゲームです。はじめの両者の得点はゼロ、ここから、ビッド宣言(このゲームではノルマ宣言と称していますが)を伴ってトリックを奪い合い、得点を重ねて、10点差をつけるか、先に25点に達することを目指します。カード交換も可能ですが、それによってビッド宣言に制限がつきますので、戦術が要求されます。(ということで、常に攻撃的であっても勝てるとは限らないのです。そう、鏡の盾の前に敗れたメドゥーサのように……。だから“イージス”と名付けました。)

ゲームの流れ

 イージスでは、攻撃側と防御側に別れてトリックを取り合います。(いわゆる“マストフォロー”のルールを採用しています。)攻撃側は自分のノルマを達成すること、防御側は攻撃側のノルマを妨害することが目的です。ただし、防御側は妨害に失敗しても、自分のノルマを達成すれば得点できます。

〔1〕 初期マスターを決める

 ゲームの最初に、両者が1枚ずつカードを引き、そのカードの強い方(後述のカードの強さを参照してください)を初期のマスターとします。マスターは、カードの交換回数を決め、先にノルマ宣言を行う側です。マスターでない方を、スレイブと称します。
 結果を確認したら、[NEXT] をクリックして下さい。

〔2〕 手札を配る

 すべてのカードをシャッフルして、はじめに鍵札を1枚引きます。(ジョーカーを除く52枚のカードを使用します。)それから、マスターから順に1枚ずつ、各々計5枚のカードを配ります。ここから、新しいシーズン(5枚の手札が配られてから、使いきるまでの期間を指します)がはじまります。

〔3〕 マスターがカードを交換するかどうか決める

 鍵札と手札とを見て、マスターがカードを交換するかどうか決めます。マスターが交換したときのみ、スレイブもカードを交換することができます。交換する場合、枚数の制限はありません。スレイブも、マスターの交換枚数に関わらず、何枚でも交換できます。(“交換”ですから最大5枚という制限はあります。)また、カードを交換したくないと思えばしなくても構いません。
 カードを交換したいときは、交換したいカードをクリックしてから(交換対象のカードは裏返しになります)、[DRAW] をクリックしてください。一枚もカードを裏返しにしないで [NEXT] をクリックすると、カードの交換をしないことになります。
 以上を、カードの交換回数が4回に達するか、マスターがもうカードを交換しないと決めるまで繰り返します。

〔4〕 ノルマ宣言をして攻撃側/防御側に別れる

 まずマスターがノルマ宣言します。ノルマ宣言とは、これからのシーズン、計5回のトリックで、何回以上のテイクを行うか、を申告することです。ただし、ノルマは【1+カード交換回数】以上で【5】以下(トリックは計5回です)でなければなりません。ですから、例えば4回カードを交換した場合、ノルマ宣言は【5】になるわけです。大きなノルマを宣言すれば、成功したときの得点も大きくなりますが、同時に失敗したときのリスクも大きくなるのでよく考えて下さい。
 マスターのノルマ宣言が終わったら、スレイブもノルマ宣言をします。ただし、これは【マスターのノルマ宣言】以上で【5】以下でなければなりません。(なお、ノルマ宣言達成の義務は基本的に攻撃側のみにあるので、スレイブがマスターと同じノルマ宣言を行うことは、後述の既定により、事実上の「パス」になります。)
 ともに、[UP] [DOWN] でノルマ宣言を上下して(左側の星の数で表示されます。虹色の星の数が下限を示します)、それから [CALL] で決定します。
 そして、より大きなノルマを宣言した方が攻撃側になります。もし、両者の宣言が同じであれば、マスターがそのまま攻撃側になります。攻撃側にならなかった方は防御側にまわります。攻撃側のノルマは虹色の星で、防御側のノルマは黄色の星で表示されます。また、次の〔5〕での最初の親は攻撃側になります。

〔5〕 手札を出し合ってトリックを取り合う

 親から順に、手札から好きなカードを一枚選んで、場に出します。(鍵札の右側、親の方に虹色の星が表示されます。)場に出されたカードを場札と呼びます。子は、親が出したカードを見てから自分の出すカードを決めることができますが、もし親と同じスートのカードを持っているのなら、必ず同じスートのカードを出さなければなりません。ただし、同じスートのカードが何枚もあるならば、そのどれを出すのも自由ですし、一枚も同じスートのカードがないなら、好きなカードを出して構いません。
 出したいカードをクリックしてください。
 強いカードを出した方が勝ち(これを、トリックをテイクする、と言います)、次回のトリックでの親となります。カードの勝敗の決め方については、後述のカードの強さ場札の勝敗を参照してください。(勝敗の結果が、右上と右下に表示されます。右上はコンピュータにとっての、右下はあなたにとっての結果です。また、一回勝つごとにノルマが消化されて、星が消えていきます。)
 結果を確認したら、右下の [WIN] / [LOSS] をクリックしてください。以下、手札がなくなるまで、計5回トリックを取り合います。

〔6〕 得点を清算してスコアをチェックする

 手札が尽きればシーズンが1つ終了し、得点の算出に移ります。

ノルマ得点

 まず、攻撃側のノルマを示す虹色の星がなくなっているかどうかで、攻撃側と防御側のどちらが勝ったのかが決まります。(ただし、鍵札の右側の星は、前述したように親を示すためのもので、ノルマとは関係ありません。)得点は基本的にノルマによって決まります。

ブレーク( Break )
【攻撃側のノルマ宣言】点
虹色の星が全て消えていたら攻撃側の勝ちです。攻撃側の勝利で、攻撃側に得点が与えられます。
キープ( Keep )
【攻撃側のノルマ宣言】点
虹色の星が一つでも残っていたら防御側の勝ちです。防御側の勝利で、防御側に得点が与えられます。

勝利側ボーナス

 また、勝利側にはさらにボーナスが加わることがあります。(下記は重複します。したがって、ノルマ宣言【5】が成功すると7点になります。)

コンクエスト( Conquest )
+1点
勝利側が全てのトリックをテイクした場合です。(攻撃側にも防御側にも可能性があります。)
プロミス( Promise )
+1点
攻撃側がブレークして、そのノルマ宣言が4以上だった場合です。(攻撃側のみのボーナスです。)

防御側保険

 ただし、防御側は、たとえ攻撃側のノルマ達成の妨害に失敗しても、得点できるかもしれません。防御側は、敗れた場合に限って、黄色の星がなくなっていれば得点できます。(ですから、ノルマ宣言を2以下に抑えた場合の“保険”のようなものです。)

セーブ( Save )
【防御側のノルマ宣言】点
攻撃側が勝ち、しかも、黄色の星が全て消えていた場合です。防御側に得点が与えられます。

勝利条件

 それから、互いのスコアをチェックします。10点以上の差が付くか、どちらかが25点以上に達すれば、そのときに得点の大きい方が最終的な勝利者になります。なお、両者が同時に25点以上に達して同点だった場合、そのときのシーズンに勝った方が最終的な勝利者になります。
 まだ決着がついていないなら、シーズンに負けた側が新たなマスターになり、〔2〕に戻ります。

〔7〕 採点評価を表示する

 決着が付いたあとに、[NEXT] をクリックするとあなたの評価値を見ることができます。それぞれ、以下の項目を採点します。

トータル( Total )
下記の四つのサブスコアの総合です。
リザルト( Result )
最終的な勝敗と、そのときの両者の得点の比で決まります。
アタック( Attack )
攻撃側に立ったときの得点率です。(一度も攻撃側にならなかった場合は、none と表示されて採点から除外されます。)
ディフェンス( Deffence )
防御側に立ったときの得点率です。(一度も防御側にならなかった場合は、none と表示されて採点から除外されます。)
テイク( Take )
トリックをテイクした割合です。

 すべて100点満点です。さらに、Total に応じて黄金の星が点灯し、メッセージが表示されますので、最高の評価を目指してがんばってください! 結果を確認した後、スクリーンをクリックすると、全てのデータがリセットされて〔1〕に戻り、新たなゲームが始まります。

カードの強さ

ランクの強さ

 エース、絵札、数札が三つ巴の関係にあります。
 エース(A)は、絵札(J、Q、K)に対しては勝ちますが、数札(2〜10)には負けます。次に、絵札(J、Q、K)は、エース(A)には負けますが、数札(2〜10)には勝ちます。絵札同士では、K>Q>Jの順で強さが決まっています。そして、数札(2〜10)はエース(A)には勝ちますが、絵札(J、Q、K)には負けるのです。数札同士では、数の大きい方が強くなります。

はじめに親を決める方法

 まず両者のランクで比べ、強い方が親となります。もしもランクが同じなら、スートを比べ、風(黄)>火(赤)>水(青)>地(緑)の優先順序で、より左に書かれたスートのカードを引いた方を親とします。
 このランク優先の決定方法は、〔1〕でマスターを決める場合に引いたカードの強さを比べるときのみのルールです。場札の勝者を決めるルールでは、以下に紹介するようにスートを優先しますので注意してください。(一部例外あり。)さらに、スートの強さも前述したものとは別のルールで決まります。ランクの強さの方は前述した通りです。

場札の勝敗

 まず、各々が出したカードが、以下のどれかに該当するかを調べてください。上から順に調べて行って、最初に該当したものになります。(カードを出したとき、その右側に表示されます。)

切り札( Trump )
鍵札と同じスートであるカードのことです。
台札( Leader )
切り札でない親の出したカードと、それと同じスートである子のカードのことです。
殺し札( Killer )
鍵札と同じランクであるカードのことです。
捨て札( Other )
上記のいずれにも該当しない場合です。(鍵札とも台札とも違うスートで、そのランクも鍵札と異なるカードのことです。)

 以上が基本です。どれも重複しません。したがって、親の出したカードは切り札か台札かのいずれかになります。また、親の出したカードと同じスートで、かつ、鍵札と同じランクである子の出したカードは、台札として扱われます。(一組のカードしか用いないので鍵札と同じランクかつ同じスートというのは有り得ません。)これによって、以下のように勝敗が決まります。

切り札( Trump ) 対 台札( Leader )/捨て札( Other )
切り札( Trump )を出した側の勝ちです。
切り札( Trump ) 対 殺し札( Killer )
殺し札( Killer )を出した側の勝ちです。
台札( Leader ) 対 殺し札( Killer )/捨て札( Other )
台札( Leader )を出した側の勝ちです。
上記以外の組み合わせ
強いランクの場札を出した側の勝ちです。

 つまり、切り札>台札>捨て札(捨て札は必ず負けます)が基本で、例外として、殺し札>切り札になります。ただし、台札>殺し札なので注意しましょう。

追記

ルール改正について

マスター決定方法の変更(2002年4月19日)

 従来まで、シーズンの勝利者側が新たなるマスターになっていましたが、シーズンの敗北者が新たなるマスターになる、と改めたました。
 有利なマスターが継続してしまうのを避けたものです。

プロミスの変更(2002年12月21日)

 得点ボーナス『プロミス』がぴったり達成のときのボーナス点だったのを、ノルマ宣言4以上の成功の場合に変更しました。
 4点の得点宣言の意味が薄くなってしまうことを憂慮したものです。

ゴールの変更(2002年12月21日)

 これまで50点達成で勝ちでしたが、25点に改めました。
 10点差を付けることを主体としてきたのを、目標到達主体に変更したものです。

検討中の課題(2003年2月16日〜)

 これまでマスターがカード交換するとき常にスレイブも同じ権利を得ていましたが、スレイブのカード交換は3回までに変更しようかと思います。
 4回以上のカード交換のリスクが高すぎることを配慮したものですが、未定です。

謝辞

 上記・マスターの決定方法の変更は『カードゲームルール集』の 林 虎雄 さんからの「防御側が不利のように思える」という指摘を受けてのことです。
 確かに、特にノルマ宣言が3の場合、得られる得点は3点付近であることが予想されますが、プロミスのボーナスもあり、カード交換の回数も指定できる攻撃側が有利ですね。また、ブレークに成功すればマスターが切り替わる、となれば、自分がマスターのときにできるだけ得点を多く得た方が良いですから、ノルマ宣言を4以上にする価値も高まるでしょう。
 適切な助言をくださった 林 虎雄 さんに感謝の念を表したいと思います。ありがとうございました。

著作・制作/永施 誠
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